日本人の足と靴文化の歴史 〜草履が育んだ健康な足〜

こんにちは矢島です。

今日は草履についてのお話です。

 

日本人は昔は足に大きなトラブルを抱えることが少なかったようです。

外反母趾や偏平足、タコなどの足の悩みは、戦前の日本では今ほど多くはありませんでした。

それは、戦前の日本には「自然と足を育てる生活習慣」があったからです。

 

日本人の生活が大きく変わったのが戦後の高度経済成長期。

昭和30年頃から西洋の文化がどんどん入ってきて、ファッションとしての「靴」が一般に広がってきたと言われています。

洋服とともに革靴やハイヒールの靴を履くことが当たり前になり、草履や下駄といった昔からあった履物は徐々に履かなくなっていきました。

<草履や下駄が足を育てる>

靴が一般的になる前は、日本人は普段から「下駄」や「草履」を履いていました。

これらの履物の大きな特徴は「鼻緒」です。

親指と人差し指で鼻緒をつばみながら歩くため、自然と足ゆびを使う習慣が身についていました。

 

足のゆびで地面をとらえる動きは、足のアーチを保つために非常に大切です。

人間の足には「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」と呼ばれる3つのアーチ構造があり、これにより歩行の安定性や衝撃吸収機能が保たれています。

草履や下駄で歩くことは、無意識のうちにこのアーチを支えるための足ゆびや足の内在筋を鍛える効果があったのです。

最近では「足育(そくいく)」という考え方が注目されていますが、それは昔の日本人にとってはごくごく普通のことだったんですね。

高坂幼稚園のように草履で過ごすようにする「ぞうり保育」をしているところも増えてきましたね!

 

<靴がもたらした便利さと代償>

一方で舗装された道路が増えたため、草履よりも靴の方が適しています。

靴は足を守り、長時間の歩行もやり易い。

 

しかし同時に、靴は足の働きが十分ではなくても歩けてしまいます。

本来人間が持っている足裏の筋肉や足ゆびの感覚が使われず、衰えてしまうという側面も持ち合わせています。

またサイズや形が合わない靴や先の細いデザインの靴は、足ゆびの自由を奪い、外反母趾や巻き爪などの原因になります。

このように現代の日本人は靴による「便利さ」と引き換えに、「足の健康」を少しずつ失ってきたとも言えます。

 

<川越で草履を買ってみた>

先日川越で、昔ながらの草履(雪駄)を購入しました。

山瀬屋さんという老舗の履き物屋さん。

鼻緒のお直しなども行える本格的な履き物屋さんです。

(足談義で盛り上がり、おばちゃんと仲良くなってしまいました笑)

草履を履いてみると、小ゆびや踵が少しはみ出してしまうので、「あれ、これで本当に大丈夫なのかな?」と思いました。

特に小ゆびに関しては、普段から「小ゆびが大切!」と口酸っぱく言っているので。

 

ところが実際に履いて歩いてみると、小ゆびは草履の縁に当たりしっかりと感覚が受け取れることに気がつきました。

流石、日本古来の履物です!

しばらく歩いた後、家に帰って足の感覚を確認すると、足ゆびが地面を掴むような感覚が増えていました。

草履を履いて歩いただけで足ゆびが使いやすくなったということですね!

 

<もう一度「日本人の足の強さ」を取り戻すために>

もちろん、現代の生活から靴を完全になくすことはできません。

仕事や通勤、スポーツなどで草履はさすがに厳しいですもんね。

 

しかし、一日のうちほんの少しでも草履や下駄、あるいは裸足で過ごす時間を持つということは、足の健康にとって大きな意味があります。

特に子どもにとっては、足の成長期にどれだけ足ゆびを使うかが将来の健康に直結します。

実際、外遊びが減り、靴を履いたまま過ごす時間が増えた現代の子どもたちの偏平足や浮き指が増えています。

僕の妻は現在家の中でスリッパの代わりに草履を履いています。

ちょっとソールが高いので、台所の高さが若干高く感じるていた妻にとってはちょうど良いようです。

日本人にとっての草履や下駄は、ただの履物ではなく足を鍛える道具とも言える履物。

上手に取り入れて、元気な足を取り戻せていけたらいいですね!

 

 

 


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